折形には、包むモノによってそれぞれ定められた型が存在しています。
華包一つをとっても、左右の襞(ひだ:折り返し)の数や位置によって、花の種類ごとに包む型が異なってきます。
昔は、そのように型に順ずること(あるいは、型から少し離れたちょっとした遊び心)が重要でしたが、今では、そのような型について認識はされておらず、それらの型の知識を活用して、人間の感性に訴えかけるようなデザイン性のようなものが求められているのかもしれません。
これは、折形でも重要となる色合わせ、重色目(四季折々に合わせた表の色と裏の色の組み合わせ。)についても同様です。以前であれば、黄紅葉(萌黄×黄)というように決まった組み合わせがありました。
しかし、今ではそのような知識は教養として身につけられていません。しかし、私たち日本人には、日本らしい色合いや季節に合った色という感覚が未だ少し残っているようにも思います。
またまた、話が長くなりましたが、今回の華包は、従来は特定の草花を包むものでしたが、今回、扇子や野に咲く花、団扇など様々なものに応用して包んでいます。また、色合いについても秋に使用される色から、作家の感性のもとに組み合わされました。
制作動画を公開しますので、ぜひ皆さんもこの動画や何かの型紙を参考にして、様々なものを包んだり、色の組み合わせを秋の夜長に楽しんでください。
企画/制作 RAGI-House
撮影 KUBOH
~~~~以下、蛇足~~~~
私の研究する経営学の分野でも、組織における歴史や伝統を活用した戦略というものにも注目が集まっています。ある意味それらの知識は組織にとってオリジナリティのあるものであり、競争優位にもなりえます。組織に蓄積された技術や知識を現代の文脈において再解釈し、活用していくのか。
例えば、京都の伝統産業でも仏具に活用した金メッキ技術を応用し、仏具の技術を応用し、デザイン性にも優れた抗菌性のメッキ加工に発展させたり、西陣織の技術を応用して金属を通す繊維を編み込むことで身体の電気信号を受信できる衣類を開発したりなど、既存の事業を発展させた新規事業が多く生まれています。
日本に最も多く存在するといわれ老舗企業において、このような新規事業が多く生まれることに期待しつつ、研究活動に励みたいと思います。
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