福井県には、鯖江市にある越前漆器で知られる、河和田地方に隣接し、越前和紙の五箇村があります。
越前国府が置かれた、この越前市(旧・武生)には、源氏物語の作者で知られる紫式部が、実父に伴い生涯の内に、数年京都を離れて暮らした地です。
1500年以上の歴史があり、日本で唯一の和紙神・川上御前を祀る「岡太・大瀧神社」が鎮座。織田信長、豊臣秀吉らに重宝がられ、幕藩時代には、徳川将軍家御用紙とし「御上天下一」と定められ、福井藩より日本初の藩札紙に。また150年前の明治新政府の紙幣「太政官金札」も越前和紙が選ばれました。
「折形」でも和紙を使います。格式が重んぜられ、檀紙、奉紙・杉原、鳥の子の序列になります。
右から、越前雲/打雲料紙、越前鳥子紙、越前奉書紙、越前檀紙。全てこの郷で発祥したものです。
また越前美紙とされる料紙(打曇、飛曇、水玉、墨流)などは、古く平安時代1000年以上前から、変わらない技法で伝承、大宮人好み、詠歌料紙の最高峰とし、天上天下打雲は、藍雲×紅雲、藍雲×藍雲、紅雲×紅雲などもあります。
*******************
写真は明治維新の折、
ご内室により、詠まれた打曇の和歌短冊(藍×藍)。越前奉紙で、差出の献上結び(上げ蜻蛉結び)短冊包を仕上げました。宇治焼の船には紫式部を添えて。
源氏物語の第51帖「浮舟」の項目に、宇治に浮舟を置き帰京する母の言葉に一文があります。
「…武生の国府に移ろひたまふとも、忍びては参り来なむを…」
Comments