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​福井県鯖江市「体操のまち」

​「体操のまち鯖江」の起源は国体にあり

 鯖江市は「体操のまち」として知られており、鯖江市の体操振興の中心となるのが福井県立鯖江高等学校です。鯖江高校体操部は、1952年に設立され1968年福井国体に向けた体操種目の強化指定校となって以来、福井県の体操種目の強化拠点です。福井国体では少年女子の部で1位を獲得するなど優秀な成績を修めることができました。

 その後も、鯖江市では鯖江高校を中心に、ジュニア育成が継続されてきました。例えば、一般学童が参加可能な体操大会の開催、練習環境を整備するために鯖江市政の協力のもと体操専用の体育館設立されました。当時、行政が体操専用の体育館を設立することはたいへんめずらしく、体操振興に市をあげて取り組まれていたことがわかります。

 また鯖江市では多くの大会やイベントが開催されてきました。全国大会の開催や日本代表の合宿、中国・体操との演技会を開催するなど様々な事業が実施されました。その結果、1995年にアジアではじめて世界体操競技選手権大会を開催を成し遂げることができました。この時に、サンドーム福井の建設や国道の整備、ボランティア文化の醸成など鯖江市に大きな影響を与えた。

 2010年には高校総体・男子体操種目で公立高校として33年ぶりの総合優勝を成し遂げました。今後も、2018年福井国体の開催、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、中国体操の事前キャンプ地としても決定しており、今後も体操のまち鯖江として発展していくことが予想される。

​鯖江市民の「体操のまち」としての認識

 どの程度の市民が鯖江市を体操のまちとして認識しているか調査* **を実施しました。その結果、約7割の市民が鯖江市を「体操のまち」として認識していました。これは、1968年福井国体以来、市政や競技団体、市民が協力して体操を盛り上げ続けてきた結果であると考えらえられます。人口約7万人の地方都市でありながら、世界体操選手権大会の開催、鯖江高校の活躍、そして一般学童の器械体操の大会開催など継続的な取り組みが行われてきました。その成果として、一般市民の約7割が体操のまちとして認識しているデータから見て取れます。

 

*2017年笹川スポーツ財団研究助成の支援のもと研究が実施されました。

**調査は、主に公共施設や商店街など一般市民を対象

DSCN1977.JPG

 

体操専用の体育館

​鯖江市立立待体育館

​体操振興による地域活性化 (心理的効果)

 鯖江市民が持つ鯖江高校体操部への関心や愛着が、鯖江市への意識や郷土愛に影響を与えるのか研究してきました。鯖江高校体操部が鯖江市にあることによって、市民は鯖江市を好きになるのでしょうか。まず、鯖江市民がどの程度、体操部と鯖江市に愛着を持っているのか把握するために、チーム・アイデンティティ(以下:チームID)とコミュニティ感覚という考え方を用いました(図参照)。

チームID

コミュニティ感覚

その結果、鯖江市民は、体操部への愛着や関わりを持つことによって、鯖江市への愛着や市民間での共通の価値観の構築、近隣との関わりに影響を及ぼしていることが明らかになりました。つまり、鯖江高校体操部によって、市民は鯖江市への愛着や意識にプラスの影響を与えるという結果です。行政が特定のスポーツを振興していくことには意義があるといえ、スポーツを通じた地域の活性化の可能性を提示しています。

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